INTRODUCTION

3代続いていた農場を自分の代で終わらせられない。民事裁判所の判事から与えられた猶予はたったの2か月。まさに背水の陣。ここまで追いつめられて俄然力を発揮する人とそのまま沈んでしまう人がいる。人生の転機はほんのささいな偶然とひらめきから生まれるもの。潰れかけている農場の納屋を改装してそこにキャバレーを作ろうと奔走し、反対する人たちを納得させ、パフォーマーを集め、喧嘩を制裁して華やかなショーを演出する、そんなフランスの田舎であった実話をもとにしたこの作品は、笑いあり涙ありの娯楽映画である。
コロナが終息しつつあっても世界では戦争・紛争が絶えず不安なことばかりが続く、そんな2023年を泣いて笑って締めくくるのにふさわしい映画が公開される!

STORY

フランスの中南部、カンタル地方。ある朝、酪農家であり農場主のダヴィッドは地方裁判所の判事の元へ“出頭”する。このままでは3代続いた農場が経営危機により差し押さえられてしまうのだ。打開策が何もないまま判事に猶予を貰おうと懇願するダヴィッド。何とか2か月の猶予を勝ち取ったものの、途方に暮れて仲間とパブで酒を煽るしかなかった。その街からの帰り道、道端に明るく輝くネオンサインを見つける。『キャバレー』だった。虫が明るい所に引き寄せられるように店内に入っていくダヴィッド。そこで見たのは、ボニーという妖艶なダンサーが繰り広げる魅力的なパフォーマンスだった。ダヴィッドは、空いている納屋にキャバレーを作れば農場を売らずに済むと思いつく。

翌朝、ダヴィッドがボニーを訪ねて店に寄ってみるとボニーはボスと喧嘩をしてクビになっていた。行くところがないと察したダヴィッドはすかさず「ちょっと寄ってほしいところがある。ここから35キロ離れた農場なんだけど」とボニーに水を向ける。初めて会った、それも酪農家からの誘いにいぶかしがりながらもつい乗ってしまうボニー。覗いた納屋は想像通りの代物だった。 

そこから、ダヴィッドが町中を回ってパフォーマーを探し、そしてボニーが演出担当の鬼となり、みるみるうちにステージのパフォーマンスが出来ていく。いよいよ明日がオープンとなった日、思いもよらない事態が起きてしまう…。

CAST

ダヴィッド役:アルバン・イワノフ
1984年9月10日、フランス・ナルボンヌ生まれ。13歳で即興劇役者として初めて舞台に立ち、20代後半からテレビおよび映画でのキャリアを重ねていくようになる。『セラヴィ!』(17)での演技が観客・批評家の双方から絶賛され、コメディ俳優としての地位を確固たるものにしている。主な出演作に、『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』(18)、「La Vie scolaire」(19)、『スペシャルズ! 〜政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話〜』(19)など。
ボニー役:サブリナ・ウアザニ
1988年12月6日、サン=ドニ生まれ。母親の勧めでアブデラティフ・ケシシュ監督作“L'Esquive”(03)のオーディションに参加し映画デビューし、セザール賞の有望若手女優賞にノミネートされる。社会派作品のわき役としてキャリアを重ねたが、コメディ作品でこそ本領を発揮する女優として認知されている。主な出演作に『PARIS パリ』(08)、『TAXi ダイヤモンド・ミッション』(18)、『クイーンズ・オブ・フィールド』(19)など。
ミレーユ役:ミシェル・ベルニエ
1956年8月2日、パリ生まれ。フランスの代表的ユーモリスト「ショロン教授」ことジョルジュ・ベルニエを父に持ち、80年代から舞台を中心にコメディ女優としてのキャリアを重ねる。主な出演作に『彼女の彼は、彼女』(95)、『ミーシャ/ホロコーストと白い狼』(07)など。

INTERVIEW

本作のアイディアはいつ思いつきましたか?
2018年1月、地元のニュースで主人公のモデルとなったダヴィッド・コーメット氏の記事を読み私の心は揺さぶられ、この映画を作ることを決めました。3週間後にプロデューサーのソフィ・レヴィールと私はダヴィッドに会うためにタルヌ地方に向かいました。
何が心を揺さぶられたのでしょうか?
ダヴィッドと農場が置かれた困難な状況、そしてキャバレーを作るというまさしく奇抜なアイディアです。自分の農場を救うためにこの挑戦に挑んだことは称賛に値することだと思いました。乗り越えなければならない障害がたくさんありますが、決して諦めません。それはまさに私がいつも考えている映画の主人公のキャラクター=決して譲らない男でした。ダヴィッドは自殺を真剣に考えていた時もあったと私に打ち明けました。注目に値するのは、フランスの農家たちは農場が立ちいかなくなり毎日何人もが自殺しているという事実です。
この映画は互いに全く異質な二つの世界の出会いでもありますね。
この映画では単に農民の状況を描くというだけでなく、農民とアーティストという出自も外見も全くかけ離れた人々が集うコミュニティ、それが呼び起こす先入観との直面を表現することでした。お互いが自分を見下している、自分の方が優れている、または劣っていると考えています。ダヴィッドが自分自身そう呼んだように、都会人vs田舎者…複雑で魅力的な組み合わせです。

STORY

監督・脚本:ジャン=ピエール・アメリス
1961年7月26日、フランス・リヨン生まれ。主な監督作に、「LES AVEUX DE L'INNOCENT」(96)、『デルフィーヌの場合』(99)、「C'EST LA VIE」(01)、「POIDS LÉGER」(04)、『奇跡のひと マリーとマルグリット』(14)など。1993年の長編監督デビュー以来、本作が13本目となる。
スタッフ
監督:ジャン=ピエール・アメリス
脚本:ジャン=ピエール・アメリス
マリオン・ミショー
ジャン=リュック・ガジェ
脚本協力:ミュリエル・マジェラン
撮影:ヴィルジニー・サン=マルタン
音楽:カンタン・サージャック
キャスト
ダヴィッド : アルバン・イワノフ
ボニー : サブリナ・ウアザニ
レティシア : ベランジェール・クリエフ
レオ : ギイ・マルシャン
ミレーユ : ミシェル・ベルニエ
2022/フランス/フランス語/ビスタ/109分/原題:Les Folies Fermières/字幕翻訳:中沢志乃/配給:彩プロ/映倫G
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